NHKで「魔改造の夜」という番組が不定期にオンエアされているのをご存知だろうか?

おもちゃや家電など、指定されたお題を「魔改造」して、別のことでその性能を競わせるというのだが、これがなかなか楽しいのだ。例えば、お掃除ロボットに走り幅跳びをさせたり、クマのぬいぐるみに瓦を割らせたり、扇風機が50メートル全力疾走する、などというものもあった。

参加するのは番組サイトに応募した企業のエンジニアチームで、毎回3社、グローバルな大企業から小さな町工場まで、バランスよく名を連ねている。企業名はNHKらしくイニシャルを使って呼称されるのだが、ロゴ入りのブルゾンを着ていたり、社屋がバーンと映ったりするのでどこの会社かはバレバレだ。

完成するまでの道のりや苦労などに各社さまざまなドラマがあり、それがちょっとしたドキュメンタリーのように放送されるのだが、チームの雰囲気や社風などがよく表れていて興味深い。コンピュータを使って綿密に計算をしてからプロトタイプを作る会社や、まず作ってみてから何度も少しずつ部品を削って調整する会社など、アプローチの仕方は三社三様である。

見た目も性能も動かし方も、全く異なるプロセスを経て産み出された魔改造品は、最後に試技をおこなってその成果を競う。桁違いの技術を見せつけて圧勝するグローバル企業があったり、小さな町工場が逆転勝利を収めたり、結果がまったく予測できないのもこの番組の面白いところである。

さて、私たちの仕事においては、お客さまの求めるゴールに向かって、最適な道を一緒に考えつつ進んでいくことが大前提であるわけだが、ゴールがここなら道はこれ、とつい決まったものを選びがちだ。私の仕事ぶりもつくづく、せっせとこつこつやる、どちらかといえば町工場タイプで、あまり新しい道に足を踏み入れたがらないところは要注意だなぁということに気付かされた。仲間と協力しあいながら、常に最善を模索し続けることも重要だと、この番組に教えてもらっている。