このところ、私の大好きな歌舞伎界、相撲界どちらも世代交代の時期を迎えています。

歌舞伎界では、片岡仁左衛門さんが「一世一代」でいくつかのお役を演じ納められました。
坂東玉三郎さんも最近、「この舞踊はもう踊れません」ということをよく言われます。

宣言して最後にしたり、フェードアウトしたり、それは役者の考え方の違いですが、いずれにしてもファンとしては、まだまだ観たい、寂しいという気持ちが拭えません。まあ、お二人の年齢を考えるとやむを得ませんが。

相撲界では、長年圧倒的な強さを見せていた白鵬関が一昨年引退、横綱照ノ富士関も膝の故障で休場が増え、大関もついには貴景勝関一人となりました。
昨年は6場所すべて異なる力士が優勝、そのうち平幕優勝が3場所続くという驚きの結果に。強い横綱・大関がいないのは、なんとなく情けない状況です。

しかし、そんな中でも楽しみなことはあります。

歌舞伎界では、若手がベテランの役者からしっかりと芸を受け継ぎ、新しい時代にあった解釈を加えて、自分たちの時代の芸を生み出そうとしている姿が見られます。
これまでもそのように伝統は受け継がれてきたのだと思いますが、時も心も移り変わりの早い現代にあって、若手の危機意識はいかばかりか。

若手による古典の自主公演や、新作歌舞伎の上演、他ジャンルの演劇への挑戦が増えています。演技には少し物足りなさがあっても、歌舞伎をなくさないために皆が一丸となっていることが見えます。

相撲界でも若い力が拮抗しており、面白い取り組みが増えてきました。
一時期は、力士の大型化により、寄り切りばかりが目立っていましたが、筋肉質の力士も多くなり、決まり手のバリエーションも増えている気がします。
このままでは衰退していく相撲界を、変えようとする力が働いているのでしょう。

世代交代は危機でもあり、チャンスでもあるということでしょうか。

その根底にあるものは、次につなぐという覚悟に相違ありません。

ビジネスでも、「この失敗を次につなげる」「今回の反省は次の課題になる」などという言葉をよく聞きます。少々常套句的に使われている感もありますが。 「次」のスケール感が全然違いますが、覚悟をもって次につなげることができれば、きっと新しい魅力や、顧客の開拓につながるはずだと、歌舞伎と相撲を見ながら、漠然と考えている今日この頃です。