昨今では、SDGsの達成や環境保全等を目的としたペーパーレス化の推進により、企業ではカレンダーや年賀状の廃止を選択するところが増えてきているらしい。

個人的には、10月からの郵便料金値上げもあり、今年は年賀状をどうしようかなと悩んでいた。年賀状じまいをする踏ん切りもつかず、送り先を厳選するかなど考えて、例年通りギリギリまで放置するつもりでいたのが、あることがきっかけで郵便局で衝動買いしてしまった。

最近の郵便局には、コラボグッズやレトルトカレー、記念切手などの見本がまとまってディスプレイされていることは皆さんご存じだろうか。

ある日、所用で郵便局の窓口に並んでいたときに、年賀はがきの見本が飾られているラックを見かけた。そこで某キャラクターとのコラボはがきを見つけて、「郵便局がこれとコラボするとは…!」と、順番待ちで暇だったこともあり思わず手にとってみた。

すると、すかさず窓口の奥から「見本より実物のほうがずっと可愛いですよ!」という明るい声が聞こえてきたのである。

「見本より可愛いって、どういうこと?」と興味を惹かれ、誘導されるままに実物を見せてもらったら、なんとなく実物の方が可愛い気がしないでもなかった。だが、この時点ではまだ買うつもりはさらさら無かったのである。

しかし、このあとの局員さんの「この子たちは、早く無くなってしまうと思うんです、人気があるので…。」と、ぽつりと言った一言で気持ちが大きく揺れ動いた。「これ」でもなく「この商品」でもなく、「この子たち」という表現が深く刺さったのである。

年賀はがきを買いに来たつもりはないのに、そもそも買うかどうかも迷っていたのに、「今、この子たちを買わなくちゃ…」という思いに囚われて、よく考えず値段も見ないまま流れるように衝動買いしてしまった。

アメリカの大学の研究によると、人は一日に3万5000回決断をしているという。決断を続けていると脳が疲労して、徐々に決断の質が低下していき、1日の終わりに向かうにつれて衝動的な決断が多くなるらしい。そして、衝動買いも決断疲れが引き起こす現象であるという。

コンビニやスーパーのレジ待ちをしているときに、レジ脇や通路沿いの商品を思わず買ってしまうのも、レジに並ぶ前に店内を見て回って決断し続けていることによる脳疲労が原因だというのである。

今回は、脳疲労でぼーっとしている(=判断力が鈍っている)ときに、絶妙なタイミングで局員さんの刺さる一言があり、衝動買いに繋がってしまったと考える。(自分の衝動買いを正当化しているだけとも言えるが)

人生は決断の連続だ。もし、重大な決断や大きな買い物をする必要が生じたときは、脳が疲れていない午前中にしたほうが良いのかなと思う。

ただし私の場合、午前中の早い時間は脳が覚醒していない可能性もあるので悩ましいところである。