2週間ほど前から、今住んでいる家の周辺を散策し、小さな思い出作りをしていました。
引っ越しが決まったとき、「そういえば家と職場、スーパーくらいしか行っていないな」と気づいたのがきっかけです。
散歩の目的は主に飲食店探し。気になったカフェやごはん屋さんを見つけては、週末に訪れてみます。
あまり期待はしていませんでしたが、どのお店も驚くほど接客が丁寧で、盛り付けも美しく、そして何より美味しい。普段はSNSをしない私が、思わず料理の写真を撮ってしまったほどです。(もちろんスマホの中にだけ大切に保存しています。)
あるお店は、オーダーも会計もすべてセルフで、料理の提供だけスタッフが行うスタイル。
一方で、少し高級感のあるレストランチェーン店にも行ってみました。チェーン店ということで「きっとDX化が進んでいるだろう」と勝手に思い込んでいましたが、実際は真逆でした。
店員さんが目を見て挨拶し、大きな見開きの紙メニューを手渡し、オーダーは紙に手書き。飲食店で働いた経験のある方なら想像できると思いますが、このアナログなやり取りが、むしろ心地よく感じられました。
さらに店内はとても静かで、キッチンから食器の音すら聞こえません。案内された窓際の席から見える窓枠やサッシには、ほこり一つありません。
まるで老舗高級ホテルのラウンジのような空間で、時間を忘れて過ごしました。
帰り際、「とても美味しかったです。ごちそうさまでした」と声をかけると、スタッフの方が満面の笑みで「ありがとうございます。またお待ちしております」と返してくれました。
その笑顔と一言で、一日がさらに温かい気持ちで締めくくられました。
今、DX化という言葉はあらゆる業界で広がり続けています。
しかし、すべてを効率化すればいいわけではありません。
今回の体験を通じて改めて感じたのは、「人だからこそ提供できる価値」が確かに存在するということです。
こうした人の温かみや丁寧さを大切にしながら、それを支えるためのDX化についても考えていきたいと思います。
言葉もまた、人の温かさを運ぶもの。これからも翻訳やローカライズを通じて、その想いがきちんと届くよう、お手伝いを続けていきます。