SNSで使われる言葉にはスラングが多く、独特な文化があると感じているのですが、今回は最近気になっている表現について話してみようと思います。

 「人権ない」という言葉を皆さんは聞いたことがありますか?もともとはゲームで使われているスラングだったようですが、例えば、「髪型失敗したから今日人権ない」など最近では何かの条件を満たしていない文脈で自虐的に使われているようです。この言葉を見るたびにあることを思い出します。

 以前、国連UNHCR協会の方のお話を聞く機会がありました。いろいろな話をしてくださったなかで、今でもずっと印象に残っている言葉があります。「最近、難民という言葉は本来と違う意味で使われることが多くなりました」。これを聞いた瞬間、ドキッとしました。まさにわたしはそういう使い方をしていたからです。気に入った美容院が見つからなければ「美容院難民」と言っていました。ほかにも「帰宅難民」や「就職難民」など比喩として使われることが多いようです。しかし、UNHCRのサイトによると、本来の「難民」の意味は「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するという理由で、自国にいると迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れ、国際的保護を必要とする人々と定義されています」とあります。わたしは、本来の意味を完全に無視して、言葉の印象の強さだけで「難民」と安易に使っていたのだと反省しました。これをきっかけに、普段何気なく使っている言葉が適切なのか、他に表現はないかを一旦考えるようにしています。いざ考えてみると「地雷」、「飯テロ」、「参戦」などよく目にする言葉が当てはまります。わたし自身使ったことがあるものばかりです。

 何かを表現するとき、ついスラングや強い言葉を使ってしまいがちですが、言葉を扱う仕事をしている身として、言葉の使い方に敏感でいようという意味も込めてブログを書いてみました。「人権」や「難民」という言葉を使わなくても、言いたいことは表現できるはずですよね。学生時代、先生から本をたくさん読んで語彙を増やしなさいとよく言われましたが、今になってようやくその意味を実感します。