SNSで言葉の誤用や言い間違いを目にすることがあります。 

TwitterやInstagramなどで「推し」のお誕生日を祝うの方々の投稿に「#生誕祭」のハッシュタグが付いていると、ご本人がエゴサして気を悪くされないかしらと、と余計な心配をしたりします。

一般の方の投稿ではなく、ネットニュースで誤用を目にしたときは、どうしてこのままリリースされたのだろうと疑問に感じてしまいます。大量に発信されるネットニュースの一部はチェックが甘いものがあるのかもしれません。

誤用されやすい言葉の代表選手が『役不足』。相手を卑下する意味ではなく、『あなたの能力に対してこんな端役は役が不足していて申し訳ない』という事。これは比較的知られていますね。

『潮時』や『煮詰まる』も誤用されやすいようです。『潮時』は「限界を迎えている、そろそろ引き際」ではなく、「物事をするのに一番よいおり、チャンス」ということです。会議が『煮詰まる』は、「これ以上話し合っても良い意見が出ない」は誤りで「意見が十分に交わされて結論を出す段階にきている」という事。この辺りは誤った使われ方の方が浸透しているようにすら感じます。

『ジンクス』はもともと「縁起の良い事」ではなく「縁起の悪い事」を指す言葉でしたが、今では良し悪しに関わらずゲン担ぎの意味で使われることが多いようです。先の、『生誕祭』はすでに他界された方、『誕生祭』はご存命の方のお誕生日祝いですが、この辺りの使い分けもなくなってゆくのかもしれません。

最近知って驚いたのが『全然』の使い方。『全然』は+否定が正しく、+肯定は誤った使い方が定着したものと思っていましたが、100年程前は肯定文に使われていたものが昭和に入って否定のみが正しいとされたのだそうです。過去の用法に矯正されたのではなく、変化して過去の用法と同じになったということです。明治時代大正時代の人たちも「全然平気」などと言っていたのしょうか。

言葉の意味、使い方は、多数に認識された方が正解となるとか。大勢が間違えた結果、時間をかけて誤用が正解に変化することもあるのです。

情報伝達スピードの速い現代、言葉の意味が変化して行くスピードも昔に比べて格段に速いはず。

面白いような、怖いような。