東京の神楽坂にある名画座が11月27日をもって創業48年の歴史に幕を閉じました。映画好きには故大森芳光監督が商業デビューするまでの数年間をスタッフとして勤務していたことでも知られている小さな古い映画館です。

コロナ禍においても、クラウドファウンディングや、グッズの販売等と、何とか経営の継続を努力されていましたが、今回、建物の老朽化による閉館とのことでした。

昔々、学生時代にアパートとアルバイト先の間にあるこの映画館に足繁く通いました。当時は800~900円程で2本立が観られた様に記憶します。ロードショウ公開された映画が下りてくるのを待ってはこの映画館を訪れていました。

社会人になって、いつの間にか足が向かなくなって久しかったのですが、数年前、ロードショウを見逃して、それでも映画館のスクリーンで観たかった映画をこの名画座の上映スケジュールに見つけて、久しぶりに訪れたことをきっかけに再び、神楽坂へ通う日々が始まりました。

年間パスポートなる物を購入し、上映される映画を観ます。何を観るかは選べません。もちろん観るか観ないかの選択権はありますが。しかし、それがかえって良かったのです。

多少なりとも経験を積むと、自分の思考が固まって、好みの傾向が決まってしまいます。食わず嫌いは食わず嫌いのままです。自分のアンテナでは情報をキャッチできなかった北欧のバジェットの小さな映画に出会えたり、自分からチョイスすることはなかった東アジアの恋愛映画が面白かったり。意外な発見をすることも少なくありませんでした。

これと同じことが仕事の場で出来ないだろうか。同じ業務を長く担当していると、作業と共に思考までルーチン化してきます。慣れた手法が一番効率が良いように感じてしまい、常にアップデートを心がけることはとても難しい。

インボイス制度、電子帳簿保存法改正と、経理担当者には頭の痛い問題が目の前に迫っています。これは選択権の与えられない、アップデートのチャンスなのかしら?