実家の裏庭にオレンジの木が2本生えていて、いつの頃からか毎年けっこうな量の実をつけるようになりました。「生えていて」と言っても自生しているわけではないので、両親が過去に植えたのだと思うのですが、特に世話をしている様子もなく、放ったらかしの野生児です。食べてみると2本が違う種類の木なのはなんとなくわかりますが、詳しい品種も不明。おそらく八朔とか甘夏とか、そんな味がします。

春になると、母がこれらをせっせとマーマレードにしては、冷凍したり親戚に配ったりしています。見ているうちに私も創作意欲がフツフツとわいてきて、昨年からオレンジピールチョコレートの手作りにチャレンジしています。オランジェットとも呼ばれるこのお菓子は、チョコレート専門店などで売られているのを見るとなかなかに高価なもので、これが手作りできたら好きなだけ食べられるな、という不純な動機です。

ネットで作り方を調べてみると、主な工程は、皮をむく、切る、茹でる、甘く煮る、乾かす、チョコレートをまぶす、の6段階。皮や砂糖を計量しなくてはならなかったり、火加減に注意が必要だったりしますが、実際やってみるとそれより「チョコをまぶす」工程がなかなか難しいことに気づきました。湯煎で溶かしたチョコレートは、温度が高すぎると液垂れしてしまうし、低すぎると厚く付きすぎて格好悪い。作業をしていくうちにチョコが冷えてもいけないし、湯煎したままでもよくない…といった具合です。

「ネットで調べる」ということを、私たちは普段から意識せずにしていますが、こうして何かをうまくやろうとすると、いつのまにか複数の中から最適なものを選択できるようになり、トライアンドエラーを繰り返してよきところに着地できるようになっているんだなと実感します。昨年は「見た目はともかく、味はいいから」な仕上がりに留まりましたが、今年はなんとか形になりました。

木に残った実もそろそろ少なくなってきましたが、やる気とチョコレートの残っているうちにもう1回くらい作ってみようかなと思います。調子づくと失敗するというのもよくある話なので、油断は禁物ですが。