先日お客さまのご依頼で、ある地域での6次化事業のブランディングという内容でワークショップの講師をやらせていただきました。

少人数制のワークショップで、参加者は皆様ブランディングの初心者の
方々です。
私は皆様に向けて、ブランディングではブランドコアになるパーパスを定めて、すべてのタッチポイントで顧客に良い体験を提供し続けることが大切であるというお話をしました。

では、パーパス(Purpose)とはなにか?

一言でいうと企業の存在意義を言います。「目的」を意味する英単語ですが、ブランディングにおいては、企業の社会的な存在価値や社会的意義を意味する言葉として使われています。
「何のために存在するのか」「その事業をやる理由は何か」といった根源的な問いの答えとなるもので、事業を行う根拠や原点であり、揺るぎない自社の指針となります。

ワークショップでは短い時間ではありましたが、皆さまにはパーパス設定のプロセスを体験してもらうことができました。
終了後に参加者の方から、「自社の事業が、思いもしない人達からの評判が良い。その人達を、ブランドとしては無視するのか、内包した方が良いのか?」という質問がありました。当然、私は「内包すべきです」と回答。

その意図は、自社の魅力の全ては自らが見えていないことがあり、外からの方がよく見えることもあるからです。ブランドの魅力を外部から発見してもらい、ブランドの力にすることはブランドとファンとの関係において共創を生む利点にもなります。

この回答に間違いはなかったと思っていますが、しばらくして、この質問からあることに気づくことになりました。

仮に、思いもしないブランドのファンが、熱狂的なあまりブランドの意図しない方向に走り出してしまった場合、どうしたらいいのか。
とても難しい問題ですが、昨今SNSで暴走するさまざまな出来事を目の当たりにして、十分に起こりうることだと確信しました。

そのようなファンの行動が自社の存在意義に影響を及ぼすならば、このような時こそブランドのパーパスに照らし合わせるべきでしょう。そして、ブランドの思いを正しく説明および発信する行動をとるべきでしょう。
また、正しい理解に導くための機会を作ることも必要です。
これは簡単なことではありませんが、重要な課題に直面した時こそ原点回帰です。パーパスはブランドの原動力です。

すべてはパーパスに照らし合わせ、事業の活動とその発展を目指し、そしてファンと共に歩んでいきたいものです。  

余談ですが、先日の日大の記者会見において、一連の責任問題における大学側の弁護士の説明の中で「日大のパーパスとは何か、理念は何か」という言葉がありました。まさに今、存在意義が問われている事柄です。