いとうせいこう・みうらじゅん著「見仏記」をご存じでしょうか?

この「見仏」というネーミングが仏像を見る楽しみを世に広め、空前(?)の「仏像ブーム」を巻き起こしました。

「見仏記」のはるか以前、私は小学校の修学旅行で出会った東大寺の毘盧遮那仏(奈良の大仏さま)や法隆寺の五重塔の塑像群に心を奪われました。社会人になってからは、秋の秘仏御開帳の時期に1週間のお休みを取り、円成寺の大日如来、聖林寺の十一面観音、法華寺の十一面観音など、仏像巡りの旅をするようになりました。

しかしその頃は、仏像は拝む対象か、研究の対象か、あるいは観光のついでのどれか。懐中電灯と双眼鏡持参で1日中お寺だけをひたすら訪ね、ただただ「綺麗!素敵!うーん、この空間がいい!」とうっとり仏像を見つめる私は、仏像を拝んでいらっしゃる人生の先輩方の白い目にさらされていました。

ところが、「見仏記」で変わったのです。

「見仏記」には、この仏頭は加藤登紀子に似ている、如意輪観音が色っぽい、すすけた色の弥勒菩薩はたくさんお線香の煙を浴びていただろうから人気があったに違いない、というようなこれまでの仏像の本には書かれていない独特の着眼点が満載です。
仏像を見る楽しさが素直に伝わる内容です。

この「見仏」というネーミングのおかげで、仏像は「見る」対象でもあることが認知されました。
おかげで「見仏記」以後、懐中電灯を用意しているお寺や観光タクシーが増えました。
そして、じっと仏像を見つめる女子が増えました。そう、「仏女ブーム」まで到来したのです。

まさに、ネーミングが「それまでなかったもの」「それまでもあったけれど確立されていなかったもの」に命を与えることを実感するに至った貴重な愛読書です。

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