アラヤのデザイナーHです。紫陽花が咲き始めた6月中旬、横須賀美術館の開館15周年記念「フランス・モダン・ポスター展」は閉幕しました。
19世紀末から第一次世界大戦期にかけて、ジュール・シュレ、ロートレック、ミュシャらによる、「ベル・エポック(豊かな良き時代)」の華やかなポスターが、芸術の中心地・パリを彩っていたという、その当時の風景をポスターを通じて想像させるような展覧会でした。
大都市に商品があふれることで宣伝の需要が高まり、ポスター・デザインも発展しました。ポスターの印刷は、リトグラフの多色刷り技術によるものです。

日本では「作品保護のため」という理由で撮影不可の場合が多いですが、 同展では撮影が許可されていました。

通常の「キャプションボード」の上に、作品中にレイアウトされている仏語を和訳した別のプレートがありました。和訳を理解してから作品を観直すと、絵本を読んでいるときのような感覚になります。

下の作品は無菌牛乳のポスターですが、無菌牛乳(左)と自然乳(右)をそれぞれ顕微鏡でのぞくと、自然乳には有害な菌がいるというストーリーが読み取れます。人物の表情から、無菌牛乳の安心感が伝わってきます。想像上の菌が悪魔っぽく描かれているところが斬新です(ちなみに作者は不詳)。

上の作品は、フランス製高級自転車のポスターです。後輪をチェーンで駆動する自転車が量産されていました。黒色のフレームに合わせて、黒コーデの淑女が自転車に跨り颯爽と登場する姿が素敵です。ブランド名らしきDECAUVILLE(デコヴィーユ)が自転車にひかれてしまったレイアウトがクールです。
同展の作品は、100年以上経った印刷物ですが美しいものでした。

建物の壁に屋外広告がぎっしりと取り付けらていた当時の風景から、エネルギッシュな街の様子が伝わってきます。

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