多様化の時代、企業においてもブランディングやリスクヘッジの視点から社会秩序・法令・人権などにかかわる表現への配慮が必須となっています。
先日、ある企業様からWEBサイト、SNSやプレスリリースのドキュメントに関する「表現ガイドライン」の策定を検討しており、その中にポリコレにかかわる内容を盛り込みたいというご相談がありました。
「ジェンダー平等」「人種差別なし」などすでに社会的な通念として浸透しているものは、ガイドラインとして明文化されているものもあります。
例えば、「男女共同参画の視点から考える表現ガイドライン」などは各自治体で作成されネットでも公開されており、どの自治体のガイドラインでも気を付けるべき表現として下記が掲載されています。
●男女いずれかに偏った表現になっていませんか?
●性別によってイメージを固定化した表現になっていませんか?
●男女を対等な関係で描いていますか?
●男女で異なった表現を使っていませんか?
●女性をむやみに”アイキャッチャー“にしていませんか?
では、対立する意見が存在するような事柄の表現についてのガイドラインを策定するとしたらどうしたよいのか。
企業とは異なりますが、こうした問題に直面しているであろうマスコミはどう向き合っているか、業界の知人に聞いてみました。その回答の一部を下記に抜粋させていただきます。
******
多少なりとも「ポリティカル」な記述に関しては、「すべての年代・職業・人種・国籍の人が違和感を持たない」ものなどありえないということを認識すべきと思います。その上で、まずは事例ごとに「こんな立場や信条の人が読んだら、どう感じるだろうか」「この記述を世界中のあらゆる人が読んだとして、どんなクレームや反対意見が出てくるだろうか」と想像力を巡らせて対応するしかないと思います。この点についての包括的なガイドラインはありますが、基本的にはケース・バイ・ケースで、その都度議論を重ねて結論を出すようにしています。
******
法的なこと、反対意見がない通念化した内容については、ガイドラインにそって記述をすることでリスクヘッジは可能です。
しかし、それ以外については、ガイドラインではなく、その時々、状況や内容ごとに、相手がどう受け止めるかの想像を巡らし、もし何らかの疑問をいだいた場合は自分だけで検討するのではなく、周りの人を巻き込んで議論できる体制を作ることが現実的な対処方法のように思いました。
海外にネットワークを持つアラヤだからこそ、議論する場を提供することが可能です。
もし、海外へ情報発信をする際に、不安に感じることがありましたら一度ご相談ください。私たちもブランディングやリスクヘッジのためにはどんな表現がよいのか、一緒に考える機会をいただけることで共に学ばせていただきたいと思います。
※男女共同参画の視点から考える表現ガイドラインにご興味があれば、ネットで検索してみてください。
参考までに、「ひこにゃん」で有名な彦根市のガイドラインです。https://www.city.hikone.lg.jp/kakuka/kikakushinko/3/7/19307.html