会社で使っているメールに、あるサービスの売込みが届きました。内容は、よくあるパターンのものでしたが、最後の一文に違和感を覚えました。
「弊社サービスの○○が、お客様のビジネスのお力添えになれば幸いです。」
客を相手に「お力添え」って何かヘンでは?丁寧な言い方だけど、目上の人(客)に対して「お力添え」って何か違うのでは、という違和感、モヤモヤが残りました。
このモヤモヤを解消したく、「力添え」のキーワードでネット検索をしてみました。
複数のサイトで調べた結果は、次のようなところに集約をすることができます。
「力添え」は、主に目上の人や顧客の力を借りる、支援をしてもらう、という意味合いで使われ、敬意と丁寧さをこめた言葉である。よって、自分が目上の人や顧客を助ける、支援をするという意味合いで使うのは適切とは言えない。
自分が抱いたモヤモヤはこれで解消、売込みメールの結びの一文は、適切ではないと思って間違えなさそう、ということで安心しました。
ところが、「お力添え」の使い方については納得ができたとして、ネット検索で調査をしているうちに、別のモヤモヤが湧いてきました。
「自分が目上の人や顧客を助ける、支援をするという意味合いで使うのは適切とは言えない」と説明する一方で、その使い方の例文として、冒頭にあげたメールの一文にあるような、「自分が目上の人や顧客を助ける」という意味合いのものを載せているサイトが複数あったのです。しかも、わりと権威がありそうなサイトにもです。
矛盾してないか?何が正しいのか?再びモヤモヤが募ります。この問題、おそらく、国語の専門家に尋ねてみたら、的確な答えが返ってくるかもしれません。しかし、そうするほどの問題ではないよなと思っているうちに、そうだAIであれば白黒はっきりさせるかもしれないと思い立ち、ChatGPTに尋ねてみました。その答えは以下のようなものです。
質問:日本語に関する質問です。「弊社のサービス○○で、お客様のビジネスのお力添えをさせていただければ幸いです。」という表現をどのように思いますか?
回答:「弊社のサービス○○で、お客様のビジネスのお力添えをさせていただければ幸いです。」という表現は、丁寧でビジネスシーンにふさわしい表現です。「お力添えをさせていただければ幸いです」は、相手のビジネスに役立ちたいという謙虚な姿勢を示し、適切な敬意が込められています。
ただし、「お力添え」という表現自体は通常、相手からの協力を意味することが多いため、場合によっては「支援」「サポート」「お役に立てれば」などに置き換えると、自然でわかりやすい印象を与えられます。例えば、次のように表現することもできます:
•「弊社のサービス○○で、お客様のビジネスを支援できれば幸いです。」
•「弊社のサービス○○が、お客様のビジネスに貢献できれば幸いです。」
いずれも、丁寧さを保ちつつ、わかりやすくなります。
この回答、「お力添え」の、現実社会での曖昧な使われ方(または、立ち位置)を鏡のように映しだしているように思えてなりません。辞書の世界を離れ、日々刻々に変容する言葉の例が多くあるように、「お力添え」もこれが正しい、と固定した評価をくだすことは難しいということなのでしょうか。ChatGPTもそのようなところを感じとってか(?)、自身が揚げた二つの例文(模範解答)を、「いずれも、丁寧さを保ちつつ、わかりやすくなります」というコメントで結んでいます。実に卒がなく、無難なまとめ方です。
さて、結論。問題の売り込みメールの結びの一文の「お力添え」、それは、なにはともあれ、お客に何かを提案するというシチュエーションにおいて適切ではない、と結論します。
そしてもし仮に、メールの差出人に対して、この表現に関する助言の機会があれば、ChatGPTの答えをそのまま使わせてもらおうかなと思います。