ミュージカルやお芝居、宝塚、大相撲など、ライブでパフォーマンスを見るのが好きです。以前は色々なところに出かけていって生の舞台を見ていたものですが、昨今はそれもなかなか叶わず、また中止のニュースも多く、寂しい限りです。

そんな中ではありますが、万全の注意をはらい、先日NODA MAPの「Q」を観劇してきました。同じ「劇場の灯を消すな」という気持ちの人が集まっているので、客席では大きな声でおしゃべりをする人もいなく、厳かな雰囲気のなか幕が開き(実際には緞帳はないので突然お芝居が始まるのですが)、約3時間の野田秀樹ワールドを堪能してきました。

ロミオとジュリエットの物語の後日談が、源氏と平家の戦いになぞらえて語られるのですが、音楽が全編クィーンの「オペラ座の夜」(だから「Q」というタイトル)という、一見縁もゆかりもないものたちが、1つの舞台上でそれは見事に融合していました。野田さんらしい社会風刺あり、爆笑シーンあり、アドリブらしきところあり、けれど最終的には切なく美しいラブストーリーに着地。クィーンの楽曲には詳しくないけれど、見終わってずっと頭の中を「Love of my life」が鳴っています。

野田さんの舞台は、セリフが音楽の旋律のように軽やかで、舞台装置や衣装が絵画のように美しく、今回はそこにフレディー・マーキュリーの声が大迫力で舞台を包み込み、さらに松たか子さんや上川隆也さんを始めとする力のある俳優さんたちの熱演が重なり、それはそれは心躍るコラボレーションでした。

ライブで舞台を見る楽しさは、ステージから五感全部に「熱」が直接染み渡り、その一瞬でしか味わえないパワーに心を揺さぶられる心地良さにあるのだな、と再確認しました。

新型コロナウイルスが広がり始めた頃、世間では不要不急と言われた舞台芸術ですが、コロナに本当に必要なもの、守っていかなくてはいけないものを気づかせてもらえたように思います。また近いうちに心の洗濯をしに行きます。