
こんにちは、デザイナーHです。この記事では、AI生成素材を商用利用するときに「知らなかった!」では済まされない著作権と利用規約の落とし穴について紹介します。
想定読者
- AIツールで素材(画像・文章・動画など)を作ってビジネスに使いたい人
- デザイナーやWeb担当、広告代理店など
- 個人・法人問わず、商用利用を意識している人
はじめに|AI時代の「素材利用」、本当に大丈夫?
MidjourneyやChatGPT、Adobe Fireflyなどで作成した画像や文章を、ブログや広告、製品パッケージなどに使う人が増えています。しかし「AIが作ったから自由に使えるでしょ?」という思い込みは見直す必要があります。実はツールごとに利用ルールが異なり、知らずに商用利用してトラブルになるリスクが存在するからです。
この記事では、「商用利用する前に確認しておくべき5つの注意点」を解説します。
1|ツールごとに「利用規約」が違う
MidjourneyとAdobe Fireflyでは、利用ルールがまったく異なります。
ツール | 商用利用 | 著作権帰属 | 注意点 |
Midjourney | 有料プランのみ可 | ユーザーに帰属(非独占) | 他人も似た画像を使う可能性あり |
Firefly | Adobe CC契約者なら商用OK | Adobeライセンスに準拠 | コンテンツの制限あり |
ChatGPT | 商用利用OK(API制限に注意) | 出力内容の責任はユーザー側 | 著作権の重複リスク |
※「利用規約(Terms of Use)」を読みましょう。
2|生成素材は「唯一無二」ではない
AIは膨大なデータから“それっぽいもの”を生成します。そのため、似たような素材が他の人にも出力される可能性が高いです。
- 特徴的なロゴ・キャラデザインとしての使用は注意
- 「オリジナリティ」を主張しづらい
※重要なブランディング要素には不向きな場合があります。
3|著作権が不明確な場合がある
AIが何を学習したかがブラックボックスのことも多く、生成された素材に他人の著作物が混ざっている可能性もあります。
特に注意が必要なのは:
- 学習データが非公開のAI(例:Stable Diffusionの一部モデル)
- 有名アーティスト風プロンプト(“Ghibli style”など)
- 類似画像の自動生成(リファレンスに依存するケース)
※「自分が著作権者になれるのか?」を確認するのが大切です。
4|モデル・人物・ブランドの「肖像権・商標権」リスク
AIでリアルな人物画像を生成した場合、実在する人物に似てしまう可能性があり、肖像権トラブルに発展するリスクがあります。また、特定のロゴに似せた(ロゴ風)デザインも商標侵害のリスクがあります。
※「ありそうなデザイン」ほど注意が必要です。
5|サードパーティ素材との組み合わせにも注意
AI生成素材+商用フォント/ストック素材などを組み合わせた場合、個別のライセンスが矛盾しないかを確認する必要があります。
例:
- AI画像に商用NGのフォントを使っていた | 著作権侵害
- ストック音源+AIボイス| 使用条件が合わず削除命令
※「全体として」商用に使える構成か?を必ず確認しましょう。
補足|AI素材利用にまつわるトラブル例
1|広告に「AIモデル画像」を使用 、人種差別を指摘
海外のファッションブランドが広告に使ったAI生成の人物画像が、実在のモデルに酷似していた上に、人種的ステレオタイプが含まれていると指摘される。
- ブランドは「AIが自動で作成した」と説明
- 実在の人物に似ている| 肖像権の問題
- 固定化されたイメージ |差別的表現
AI生成画像は無難に見えても、社会的配慮が必要であり、特に人物画像は多様性や倫理性の観点でも慎重に扱うべきであることを学ぶことができます。
2|美術コンテストで「AI生成作品が優勝」するが、後に批判殺到
海外の美術コンテストで、参加者がMidjourneyで生成した画像を応募し、優勝した。しかし後に「AIで作った」と明かしたところ、他の参加者や審査員から猛反発となる。
- 「人間の作品だと思ったのに騙された」の声
- 「努力して描いた作家の立場がない」の声
- 主催者側は規約整備を見直す事態になる
AI生成物の使用開示・透明性の欠如が信用問題になり、特にコンテストや商用制作の場では、「AI使用の有無」は明記した方が安全であることを学ぶことができます。
まとめ|AI時代のクリエイターに必要なのは、リスク感知力
AIは素晴らしいツールですが、それを使ってお金を稼ぐ・発信するとなれば、「ルールを知って使うこと」もクリエイティブの一部です。
- ツールごとの利用規約を確認する
- 素材の再現性・独自性に注意する
- 著作権・肖像権・商標権のリスクを意識する